音声・音響

映画用アンビエンス収録/単一種の蝉のみを狙ったフィールドレコーディング

/音声技術担当(ロケーション選定・フィールドレコーディング・素材納品)

「純粋な蝉の声」の指定に応え、混入音を排した山中でのアンビエンス素材収録をしてきました。

映画で使用するアンビエンス素材の収録を担当しました。ご依頼は「純粋な蝉の声が欲しい」というもの。一見シンプルですが、実際に録るとなるとかなり条件の厳しいオーダーです。

まず、蝉が一匹しか鳴いていない状態では画に対して層が薄く、使えません。かといって数が十分でも、そこに別種の虫の声や鳥の鳴き声が混ざっていると、今度は「純粋な蝉」ではなくなってしまいます。編集で他の音だけを抜くことは事実上できませんので、録る段階で条件が揃った場所を見つけるしかありません。

さらに厄介なのが、人の生活音です。遠くを走る車、防災無線、電線の唸り、飛行機。日常では意識に上らない音ですが、静かな環境にマイクを向けた瞬間、これらは驚くほどはっきり記録されます。結果として、山深く、めったに人が通らない場所まで入っての収録となりました。

ロケーションを決めたら、あとは待つ時間です。マイクを立て、自分は音源から離れて、機材を回したまま静かにしている。移動や衣擦れがそのままノイズになりますので、収録中に人間ができることはほとんどありません。

とはいえ、現場は「都会の喧騒を離れた清涼な時間」とはまったく違いました。夏本番の直射日光の下、まず心配になるのは機材の熱です。レコーダーが熱で落ちれば、その日のテイクは全部消えます。加えて頭をよぎるのは、熊は出ないだろうか、鹿というのは実際どのくらい強いのだろうか、といった収録とは無関係な思考。音を待つ時間というのは、意外と静かではありません。

そうして、混じりけのない蝉の声を収録できました。今後どこかの映画で蝉の声が聞こえたら、それは私が録ったものかもしれません。熊と鹿に怯えていた人間が録音したのだと、少しだけ思い出していただけたら嬉しいです。

ロケ音声やイベント音響だけでなく、「こういう素材はないか」「この音を録ってきてほしい」というご依頼にも対応いたします。まずはご相談ください。

実績日2026.07.30
カテゴリー音声・音響
担当範囲音声技術担当(ロケーション選定・フィールドレコーディング・素材納品)

← 実績一覧へ 同様の案件を相談する